近年、相続した田畑を処分したいと考える相続人の方が増えています。その背景には、次の2点が挙げられます。
<田畑を相続するケースの増加>
核家族化が進み、親の代で農業を継がなかった人が田畑を相続するケースが増えています。
<維持管理に手間がかかり処分したい人も多い>
農作業を業としない相続人にとって、草刈りや水路の管理など田畑の維持管理は負担となります。そのため、処分を希望する相続人が増加しています。
このように、相続した田畑の処分を望む人が増加する一方、中には処分方法を知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。こちらでは、田畑の適切な処分方法とそれに伴う費用について解説します。
農地の処分方法と注意点
◇農地中間管理機構(農地バンク)に売却
農地中間管理機構は、農地の集積・集約化を図り、担い手への農地の集積を進めるために設置された機関です。ここに農地を売却すれば、引き続き農地として活用されます。
売却の流れは以下のとおりです。
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1.管理機構に売却申請
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2.管理機構が農地の現状を確認
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3.買取価格を提示
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4.合意で売買契約
買取価格は、地域の実勢価格より低くなる傾向ですが、農地の有効活用に貢献できるメリットがあります。

◇一般の買主に売却
農地を一般の買主に売却する場合、農地転用の許可が必要となる可能性があります。
・農地転用が必要な場合
農地を宅地や資材置場など、農地以外の用途に変更するときは「農地転用許可」を都道府県知事から受ける必要があります。これには以下のような手順が伴います。
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1.不動産業者や買取業者に依頼
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2.売買契約締結
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3.農業委員会に転用許可申請
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4.許可後に所有権移転の登記
・農地転用が不要な場合
すでに市街化区域内にある農地などは、農地のまま一般の買主に売却することも可能です。この場合でも農業委員会への届け出は必要となります。
農地の売却価格は転用の可能性によって変動しますが、一般買主への売却であれば高値で売却できる可能性もあります。
◇相続放棄
相続放棄とは、相続財産に関する一切の権利義務を放棄することを指します。農地を相続した場合でも、相続放棄ができます。
ただし、以下の点に注意が必要です。
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(1)積極財産か消極財産かを問わず、すべての相続財産に関する相続の権利を手放すことになります。つまり、不要な農地だけを選んで相続放棄することはできません。
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(2)相続放棄によって農地の所有権を得ることは免れますが、一度取得した所有権を放棄することはできません。
相続放棄をした場合、相続人の順位に従って所有権が移転します。すべての相続人が相続放棄すれば、最終的に国が所有権を取得します。
◇相続土地国庫帰属
相続土地の国庫帰属は、相続人が現れない、または相続人が土地を相続する意志を放棄した場合にその土地が国に帰属する制度です。この制度のメリットとしては、まず相続人が土地の管理や維持に伴う経済的な負担を負わずに済む点が挙げられます。税金や固定資産税、メンテナンス費用などの費用がかかるため、これらを避けたい場合には国庫帰属が有効な手段となります。また、相続土地に関する紛争がある場合や相続人間で合意に至らない場合に、国庫帰属を選択することで、相続に関わる手続きや争いを回避できる可能性があります。このように、相続土地の国庫帰属は、相続人にとって経済的および精神的な負担を軽減する選択肢として考えることができます。
相続土地国庫帰属制度を活用することで国に無償で土地を移転できますが、以下の条件を満たす必要があります。
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相続等により取得した土地であること
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処分が困難な土地であること
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国が引き受けることが適当であること
手続きには時間がかかるため費用が発生し、費用額は土地の地目や面積によって異なります。負担金の分類や算定式などの詳細は、法務省のホームページにてご確認いただけます。
関連情報:法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」
農地処分に伴う費用とは
農地を手放す際には、いくつかの費用が発生します。主な費用は以下のとおりです。
◇売買手数料
農地を売却する際には、売買を仲介する不動産会社などに対して「仲介手数料」を支払う必要があります。仲介手数料の料率は、売買価格が高くなるほど低くなる仕組みとなっています。売買手続きの際には、仲介手数料についてもよく確認しましょう。
◇測量費用
境界線の測量費用は、対象となる土地の面積や地形、場所などによって異なります。一般的な目安としては、以下のとおりです。
なお、測量費用には土地家屋調査士の技術料のほか、測量に必要な機材レンタル代や作業員の人件費なども含まれます。また、測量の目的や土地の形状によっても費用は変動します。実際にかかる費用は事前に土地家屋調査士へ見積りを依頼し、確認することをおすすめします。
◇相続税
農地を相続した場合、一定の要件を満たせば相続税の納税を猶予することができます。具体的には以下の2つの要件を満たす必要があります。
・要件1
被相続人が相続開始前から引き続き5年以上所有していた農地であること
・要件2
相続税の課税価格の合計が2億円以下であること
要件を満たせば、農地の相続税は最長20年間納税が猶予されます。ただし、猶予期間中に農地を売却した場合は猶予がなくなるため、注意が必要です。
農地の有効活用も考えてみよう
農地を手放すことも選択肢の一つですが、むしろ農地の有効活用によって収入を得ることができます。
農地の有効活用方法の一例として、以下の3点が挙げられます。
◇体験農園で観光化
都市部の人々に農作業体験の機会を提供することで収入を得られます。
◇業者と契約して運営する市民農園
農地を貸し出して市民農園の運営を業者に任せることで、安定した賃料収入が得られます。
◇遊休農地を近所の農家に貸し出す
農家の方に遊休農地を貸し出すことで、少額ですが賃料収入が得られます。
このように、農地の有効活用により収入を得ることができます。農地を処分する前に、様々な有効活用方法を検討してみるとよいでしょう。

相続した農地の売却をお考えの際は株式会社ゴダイリキへ
農地の売却には様々な手続きや注意点があります。まずは農地の処分方法を検討し、売却する場合は売買手数料や転用許可の費用など様々な費用がかかることを覚悟しましょう。売却の際の主な費用としては売買手数料、測量費用、相続税などが挙げられます。
このように農地の売却には一定の費用負担が発生しますが、耕作放棄などのリスクを避けるためにも、使わない農地は早めの売却を検討することが重要です。
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