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【農地放棄の現状】深刻化する耕作放棄地の原因と問題点とは?

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【農地放棄】耕作放棄地が深刻化する原因と問題点

農業は、日本の食料を支える重要な産業です。しかしながら近年、農家の高齢化や後継者不足などの理由から、耕作放棄地が増加の一途を辿っています。耕作放棄地とは、本来は農地として利用されていた土地が長年の間放置され、雑草が生い茂った状態になっている土地のことを指します。

このような耕作放棄地が増加すると、農地の生産力低下をはじめ、害虫の発生や景観の悪化など様々な問題を引き起こします。このため、耕作放棄地対策は喫緊の課題となっています。

こちらでは、耕作放棄地の定義と現状について触れたうえで、その要因や問題点を整理し、解決のための取り組みになどについてご紹介します。

耕作放棄地とは

◇耕作放棄地の定義

耕作放棄地とは、「以前耕地であったもので過去1年以上作物を栽培せず、且つこの数年の間に再び耕作する考えのない土地」と農林業センサスにおいて定義づけられています。つまり、以下の3点を満たす農地のことを指します。

 

  • 以前は耕作されていた農地

  • 過去1年以上作物の栽培がない

  • 今後も耕作する予定がない

 

一方、「遊休農地」は農地法で定義されており、「現に耕作されておらず、引き続き耕作される見込みがない農地」または「農地の利用程度が周辺に比べ著しく劣っている農地」と定められています。つまり、遊休農地には少し利用されている農地も含まれる点で耕作放棄地とは異なります。

◇遊休農地や荒廃農地との違い

遊休農地と耕作放棄地、荒廃農地は、それぞれ定義が異なります。

 

遊休農地とは、農地法の定義で「かつて農地だったが現在農地として利用されておらず、今後も農地として利用される可能性も低い土地」と定められています。

 

一方の耕作放棄地は「以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を作付けせず、この数年の間に再び作付けする考えのない土地」と定義づけられています。

 

さらに荒廃農地は、「現に耕作されておらず、耕作放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能な農地」を指します。再生可能なA分類と再生困難なB分類があります。

 

このように、遊休農地は自治体の調査で客観的に判断される農地であり、耕作放棄地は所有者自身の申告で統計上記録される農地、そして荒廃農地は物理的に農地として利用できない状態の農地と、それぞれ定義が異なります。

耕作放棄地が増加する要因

◇農家の高齢化と後継者不足

耕作放棄地が増加している原因はいくつか挙げられますが、その中でも農家の高齢化と後継者不足は、耕作放棄地増加の最大の原因と考えられています。農林水産省(農水省)の調査によると、以下のとおり農業従事者の高齢化と減少が顕著です。

耕作放棄地が増加する要因

 

このように高齢化が進み、若手が減り続けていると、農地を放棄せざるを得なくなっています。耕作放棄地の増加は、農地面積そのものの減少につながり、国内食料生産量の減少や食料自給率の低下など、様々な問題を引き起こす要因となっています。

耕作放棄地がもたらす問題

◇農地の生産力低下

長期間にわたり農地を放置すると、その農地の生産力が低下してしまいます。

具体的には以下のようなことが考えられます。

・土壌の肥沃度低下

肥料を施さず放置すると、土壌中の肥料成分が減少し、作物の生育が阻害されます。

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耕作放棄地がもたらす問題

・排水性・透水性の悪化

耕作されないため地力が劣化し、土壌の団粒構造が壊れて排水性や透水性が低下します。

 

・雑草の繁茂

除草が行われないため、雑草が繁茂し、作物の生育を阻害します。

 

このように、長期間にわたり農地を放置すると、その農地の生産力が低下し、作物の収穫が著しく減少するおそれがあります。適切な農地管理を行い、農地の生産力維持に努めることが重要です。

◇雑草や害虫の発生、病害の温床化

耕作放棄地では、管理が行き届かなくなるため、雑草が生い茂ります。雑草が繁茂すると、農作物に悪影響を及ぼす害虫の発生源になったり、病原菌の温床となる危険性があります。

具体的には以下のような問題が生じる可能性があります。

 

  • 雑草から飛来する病害虫による周辺農地への被害拡大

  • イノシシ等の野生動物が雑草地を住処として農作物を食い荒らす

  • 耕作放棄地から病原菌が飛散し、周辺農地の作物が感染する

 

このように、耕作放棄地は適切に管理されない限り、雑草や害虫、病害の発生源となり、周辺農地の営農に深刻な影響を及ぼします。耕作放棄地対策は喫緊の課題と言えるでしょう。

◇食料自給率の低下

日本の食料自給率は、主要先進国の中で最低の水準となっています。2022年度の食料自給率(カロリーベース)は38%とわずかに改善されましたが、依然として低い水準にあります。

食料自給率が低い理由として、次の3点が挙げられます。

 

・食生活の変化

米から肉や小麦などへの食生活の変化により、自給率の高い品目の消費が減少。

 

・算出方法の問題

カロリーベースでは、輸入飼料で育った畜産物や食品ロスが反映されない。

 

・生産基盤の衰退

高齢化による農業従事者の減少と耕作放棄地の増加。

◇災害時の防災機能低下

農地は、作物の栽培地としての役割の他に、洪水の防止、火災の拡大抑制、一時的な避難エリアとしての機能など、多角的な防災効果を持っています。しかし、耕作が放棄されて管理されなくなると、これら防災機能が低下し、災害が発生した際のリスクが増加します。地域の安全確保のためには、耕作放棄地の削減に向けた取り組みが極めて重要です。

耕作放棄地の再利用:地域社会とエネルギーの新しい可能性

耕作放棄地が増加する一方で、その再利用には大きな可能性が秘められています。放棄された農地は、適切な管理と新たな用途を見出すことで地域社会に貢献できます。例えば、耕作放棄地を活用して地域の子どもたちの教育の場とする学校農園や、都市住民のリフレッシュの場としての市民農園を設けることが考えられます。これにより、地域内でのコミュニティ形成が促進され、農業への関心も高まるでしょう。

また、放棄された土地を利用して、太陽光発電やバイオマス発電といった再生可能エネルギーの設置も有効な手段です。これにより、エネルギー自給率の向上や環境負荷の軽減が期待されます。さらに、観光資源として活用することも一つの方法です。例えば、耕作放棄地を整備してフラワーパークやアウトドアレジャー施設を設置することで、地域の観光産業を活性化させることができます。

このように、農業だけでなく多様な視点から耕作放棄地の再利用を考えることで、地域全体の活性化につながるでしょう。

耕作放棄地の活用事例

自治体では、耕作放棄地を有効活用するため、様々な取り組みを行っています。

  • 花を植えて景観向上:ひまわりや菜の花を植え、地域の景観を向上

  • 市民農園:市民に開放し、農業体験の場を提供

  • 循環型農業:作物栽培と家畜飼育を組み合わせ、資源循環型農業を実現

  • 地域特産品の栽培:地域の特産品を栽培し、地域経済の活性化につなげる

  • 基盤整備:農地の整備を行い、新たな農業経営を促進

  • 新規就農者の支援:新規就農者を支援し、農業の後継者を育成

 

これらの取り組みを通して、耕作放棄地は、単なる放置された土地ではなく、地域活性化や食料生産の場として生まれ変わっています。

耕作放棄地対策

◇農地バンクによる農地の集積・集約化

農地バンクでは、地域内に分散・錯綜する農地を借り受け、まとまった形で担い手へ再配分することで、農地の集積・集約化を実現する「農地中間管理事業」を行っています。この取り組みにより、農地の大区画化が図られ、担い手の労働時間が大幅に短縮された地区もあります。また、新規就農モデル団地を設定し新規就農を促進した地区や、集落の農地を一括して農地バンクに預け、担い手に集約化した事例もあります。

このように、農地バンクでは地域の実情に応じた取り組みを通じ、効率的な農業経営の実現に向けた農地の集積・集約化を推進しています。

◇農業次世代人材投資事業など人材確保支援

農林水産省では、新規就農者の確保・育成に向けた支援を行っています。具体的には「就農準備資金」「経営開始資金」の交付があり、次のような内容となっています。

 

・就農準備支援金

道府県農業大学校や先進農家での研修時に、研修期間中、月額12.5万円(1年間で最大150万円)を、最大2年間交付します。

 

・経営スタート支援金

新規に農業に従事する方々を対象に、農業経営が軌道に乗るまでの最長3年間、月12.5万円(年間で最大150万円)を支援金として交付します。

 

このように、研修期間から就農初期の経営確立まで継続した支援を実施することで、次世代を担う新規就農者の確保・育成を後押ししています。

 

交付対象となるための要件など、詳しくは農林水産省のホームページにてご確認ください。

参考:農林水産省「新規就農者育成総合対策のうち就農準備資金・経営開始資金」

◇農地中間管理機構による農地の賃借

農地中間管理機構は、耕作放棄地の発生防止や解消を目的に、農地の賃借権を取得し、担い手農家などに一定期間農地を貸し付ける役割を担っています。

具体的には、以下のような流れとなります。

 

  • 1.農地所有者から農地の賃借権を取得

  • 2.担い手農家などに一定期間農地を貸し付け

  • 3.賃借権取得時と比べ高い賃借料を設定

 

このシステムにより、担い手に農地が集積され、耕作放棄地の発生を防ぐとともに、賃借料の上乗せ分が農地の付加価値向上に充てられます。

農地(耕作放棄地など)のお困りごとは株式会社ゴダイリキへ!

耕作放棄地は農家の高齢化や後継者不足が主な要因で年々増加傾向にあります。この問題は食料自給率低下や災害時の防災機能低下など、様々な分野に悪影響を及ぼします。そのため、国は農地バンクや農業次世代人材投資事業などにより、農地の集積・集約化や人材確保を支援しています。また、農地中間管理機構による農地の賃借など、農地の有効活用も進められています。

 

長年にわたり放置されてきた活用が難しい耕作放棄地や遊休農地をお持ちの方、あるいは処分をご検討中の方におかれましては、ぜひ一度株式会社ゴダイリキにご相談ください。

株式会社ゴダイリキは、売却が困難とされがちな農地や空き家といった「負の資産」の買取りに関するご相談を全国で承っております。経験豊富な専任アドバイザーが丁寧にヒアリングを行い、お客様一人ひとりの状況に合わせたきめ細やかなサポートをさせていただきます。

相続した農地の活用方法に頭を悩ませている方、ご実家の空き家をどのように処分すべきか悩んでいる方など、様々なケースに対応可能です。「この土地や家屋、一体どうすればいいのだろう」とお困りの際は、ぜひお気軽に株式会社ゴダイリキにご相談ください。

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